ボーディングスクールのサマースクール紹介クッシング・アカデミー(Cushing Academy)
こんにちは、ワーキングマザーのための受験アドバイザー・喜連川綾乃です。
アメリカのボーディングスクールのサマースクールが出願受付中です。
これから出願したいという方で、夏休みに集中して初歩から英語力を鍛えたいという方にクッシング・アカデミー1(Cushing Academy)のサマースクールをご紹介します。(「クーシング・アカデミー」と表記されることもあります。)
ボーディングスクールのサマースクール運営
どのようなものか
アメリカのボーディングスクールは、6~8月の約3か月間、夏休みで生徒が不在となる期間中、施設を稼働してサマースクールを運営します。(資金稼ぎですね)
開催期間は大体6月末から3~5週間で、ボーディングスクールの寮や学校生活をじゅうぶん経験することができます。午前中はコアコースの勉強、午後は各自の選択で、個別履修科目やTOELなどのテスト対策、スポーツ、芸術などのアクティビティに参加します。夜は夕食後に強制的に2時間以上のStudy Hallという 勉強時間が設けられます。週末は名所観光などもろもろのイベントが企画されます。
出願申込スケジュール
前年の11月頃から募集が開始され、成績表やショートエッセイなどの出願書類による審査はありますが、大体先着順の受け入れになり、満席になったら締め切られます。人気があるテンスクールのサマースクールなどは前年度中か、1月中くらいには申し込んだ方がよいと思います。
現在の申込状況
クッシングのサマースクールの責任者に確認したところ、ESLコースは例年3月末で〆切となるが、パンデミック以降申込が増加しているため、早めに満席になるかも知れないそうです。アメリカ経済が好調である証拠でしょうか。
クッシング・アカデミーの特長
差別化ポイント
- 国際的なダイバーシティがあること 約30%の生徒が留学生であり(通常の倍レベル)、30か国以上から集まっている。
- ESL教育が素晴らしいこと 英語力のアセスメントをしっかり行い、レベルに合わせた指導を徹底している。
- 芸術分野に力を入れていること 絵画、陶芸などのビジュアルアーツ、パフォーミングアーツを推進している。巨大なアートスタジオがある。
訪問時の印象
うちの息子のボーディングスクール受験時に、候補先選定のため親子で訪問しましたので印象を共有します。(実際に出願しました)ボストンのローガン空港から車で1時間半ほどの場所にあります。
メインビルディングは古びた印象がありましたが、緑の丘に広がるキャンパスで良い環境でした。大変に立派なアートスタジオがあります。
案内してくれる生徒も、そこかしこで会う教職員も大変に親しみやすい雰囲気です。アジア人生徒がリラックスして溶け込める雰囲気を感じ取りました。(ボーディングスクールすべてが同様というわけではありません)
訪問時に偶然出会った日本人生徒は「短期留学で来たのですが、気に入ったので転校しました。ここのESLは大変に厳しいですよ。」ということを話してくれました。他の日本人卒業生の経験談でも、最初はTOEFLスコアが低くてもESLクラスをステップアップしていき、上級クラスに到達すればかなりハイレベルになる、とのこと。
ESLが秀逸なのは疑いなさそうで、外部のコンサルタントからもお墨付きでした。
入学審査担当者によるとTOEFLにはあまりこだわらず、ダイバーシティ、切磋琢磨、インパクトを与える人間性を重視する、とのこと。
サマースクールについて
プログラム内容
他校同様、高校生レベルのアッパースクール(Grades9~12)と中学生レベルのミドルスクール(Grades6~8)に分かれています。ここではアッパースクールを中心に説明します。
アッパースクールにはEXCELという上級コース、IMMERSEというESLコースがあります。(他に芸術に特化したコースなどもあります)以下は学校側に確認した情報です。
- EXCELコースは大学進学準備用の上級コース。学習量が多いので英語力が必要。サポートはしっかり行うが、どうしてもついていけない場合は、クラス替えを行うこともある。(ESLコースへの変更もあり得ます)
- ESLコースは4つのクラスにレベル分けされる。毎週アセスメントされて進捗に合わせたクラス替えを行う。
Summer Session Overview | Cushing Academy
https://www.cushing.org/summer/summer-session-overview
フィリップス・アカデミー・アンドーヴァー(Phillips Academy ANDOVER)のESLと比較すると
息子は中学3年生と高校1年生でアンドーヴァーのサマースクールに参加しました。各年それぞれ、クッシングのESLコースと上級コースに相対するプログラムでした。ESLコースを比較すると違いがわかります。
どちらも毎日かなりの量の英語文献を読むことになり、毎晩宿題に追われます。テーマを決めてエッセイを書いたり、プレゼン練習なども行います。
Cushing Academy | Phillips Academy ANDOVER | |
TOEFL | 不要 | ESLコース60以上想定 上級コース80以上想定 |
授業内容 | 5週間で流暢に英語を使いこなすことを目標に徹底的に4技能を鍛える実践的なメニュー。リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングの細分化されたトレーニングメソッドがある。 | 午前中にコアコースでESLメニューをこなすが、教材はESL用のものでなく、小説を読破して論理的な思考力やライティングスキルを学ぶもの。スピーキングコースが別枠であるが、詩などのテーマもあり、教養を身に着けられる素材。 宿題では約40ページの読書を課され、学習量は多い。 |
クッシング・アカデミーはこういう人に向いている
そもそもアンドーヴァーのESLコースのTOEL60以上という想定はかなり高いと思います。学習量も多いため、高い学力か、英語力かどちらかがないと宿題がやり切れない可能性はあります。息子は高校1年生で留学するためにTOELを勉強していましたので、たまたまちょうどよい英語力でした。毎晩相当勉強したようです。
そういった特殊事情がなく、日本の中学3年生くらいで初めてサマースクールに参加するとしたら、クッシング・アカデミーのESLコースはうってつけのように思います。TOEFLを受験したことがないレベルでも問題ない、ということです。
頑張ればひと夏でかなり英語力がアップするはずです。
サマースクール出願方法
・参加グレード
日米で学年のマッチングが分かりづらいです。息子の例では以下のとおり、出願していました。
日本側 | サマースクール参加Grade |
中学3年生の夏 | Grade9 |
高校1年生の夏 | Grade10 |
出願準備
成績表とショートエッセイ等を提出します。
今回、クッシングに確認したところ、ESLコースは例年3月終わりごろに満席になるそうですが、コロナ以降早まっているそうです。早めに出願することが望ましいと思います。
日本の学校からの出願のネック
期末試験など
6月末渡航ということになると日本の学校では一学期の期末試験が受けられないことになります。
開成の場合は規程があり、テンスクール相応のサマースクールなら欠席扱いにはなりませんでした。実際には私立学校の生徒は参加していますので、何らか方法が見いだせるかも知れません。
(参考)桐蔭学園のグローバル教育
私立校がサマースクール参加を後押しする事例がないかを調べました。
神奈川の桐蔭学園はクッシングをはじめ、アメリカのトップボーデイングスクールと驚くほどハイレベルな提携をしています。
普通のルートで合格するのは至難の業と言えるような学校に留学するチャンスがありますね。
グローバル教育桐蔭学園高等学校
https://toin.ac.jp/high/schoollife/global/
準備・心構え
渡航
例えばクッシングなら、ボストンのローガン空港に6/30到着の飛行機を早めに予約します。また、学校の有料送迎バスを予約します。(他の学校も同様です)初めてだと不安ですが、ローガン空港に着くと、学校スタッフが問題なくピックアップしてくれます。
インターナショナルナイト用服装
大体どこのサマースクールでもお国自慢大会のようなインターナショナルナイトが催されます。そのための服装を持ってくるように指定されます。息子には甚平を持たせました。その程度でじゅうぶんでした。結構気に入り、アメリカの大学でも愛用しています。
子供の自信につなげること
息子を見ているとサマー・スクールではそれなりに環境適応も大変だったようです。クラスの中で英語で発言し続けるには克己心も必要になります。お子さまに合うサマー・スクール選びが大事です。
頑張ってひと夏を過ごしたことがお子さまの自信につながれば最大の成功だと思います。
(参考)クッシングの日本人生徒
流暢な英語を話されていて感動しました。
- 1.Wikipediaにはクーシング・アカデミーと表記されていますが、英語での発音はクッシング・アカデミーが近いと思います。 ↩︎