希学園についてその2.山﨑信之亮先生のこと(3)
こんにちは、ワーキングマザーのための受験留学アドバイザー・喜連川綾乃です。
希学園で中学受験のチューターとしてお世話になった山﨑信之亮先生(現学園長)の貴重なアドバイスや今振り返って感じたことを実録でお話ししたいと思います。
これから中学受験をする方にも、中学受験の闘いの渦中の方にも何等かの参考になることを祈っています。
振返って気づいた塾選びで大切なこと
中学受験を楽しむこと
このブログシリーズを書くために過去の山﨑先生とのやりとりを振り返ったところ、改めて気づいたことがあります。それはうちの息子は苦しいながらも「中学受験生活をそれなりに楽しんでいた」ということなのです。
その要因のひとつとしては、「希学園が彼に合っていた」ということではないかと思います。
では、「塾が合っている」ということはどういうことなのでしょうか?それは「子供なりに頭と心で納得が行く」ということだと思います。細分化すると以下のようなことです。
- 先生を尊敬できること 山﨑先生とのメールには下記のような記述がありました。学力、見識、情熱が備わった先生であれば子供も自ずから言うことをきく、というものです。勉強だけではなくて、先生の授業中のプライベートな小話がかなり子供には影響するようです。子どもの話を聞くと厳しくも楽しい授業運営がされていると感じていました。
- クラスメイトと感性が合うこと テストでクラス替えになる過酷な制度ですが、同じような学力の子ども達と席を並べて勉強するのは楽しいようでした。それに気づいたのは合格祝賀会でのことでした。合格祝賀会では同じクラスのお子さんたちと心から楽しそうに接していました。普段の公立小学校では見せたことのない笑顔で、自然に交わっていることには驚きました。
本日はご指導いただき、ありがとうございます。先生のお言葉には120%反応する子なので、開成受験に俄然やる気になったようです。基本的に希の勉強が楽しいようで、頑張るモードになっています。学校がつまらないと言い出しました。
2月2日の神奈川の学校は安心して良い
史上最低レベルの模試算数の偏差値に対して
小学6年生になってから私自身がスランプになり、10月まではアイドリング状態でした。トップクラスにこそいたものの、算数と理科は、目標とする希学園の公開模試偏差値60にはまったく届きませんでした。受験までもはや4か月しか残されていませんでした。
「間に合わないかも」という悪い予感に押しつぶされそうになりながら、結局、のぞみで勉強したことをとにかく身に着けて受験に臨もうと思いました。この時の私の心境は、「のぞみと心中する!」くらいのものでした。
例によって4月からの公開模試の結果を分析したところ、算数・理科については、苦手分野は以前と変わっていないようでした。年末には、過去問演習が始まりますので、何とか冬休みまでにできるだけのことをしておこうと思いました。この頃には校外模試が解禁になり、志望校判定の登録をどうするかで山﨑先生に相談しています。
11月時点で先生から「2月2日の神奈川の学校は安心して良い」と言われています。12月~1月に相当不安になる時期がありましたが、受験後にこの言葉が正確だったことがわかりました。
以下は、11月の山﨑先生とのメールのやりとりです。
2/1開成・2/2 聖光学院・2/3浅野・2/4以降渋渋 でよいでしょうか?
[最近の模試結果]
- 10/18四谷大塚 開成55%、聖光65%、浅野80%
- 10/26サピックスオープン 聖光80%
- 11/3サピックスオープン 開成60%
史上最低レベルの算数の偏差値にもかかわらず、合格可能性はアップしていますが、あまり安心しておらず、最新の公開模試結果の算数を見たいと思っていたところ(目標60)、速報では、58.3と浮上しました。
少しは、志望校別のやり直しや復習テスト、夏期講習の復習などの効果があったのかも知れません。やり直しを急ぎ完了させたいと思います。
本人は、最近結構やる気になって気分よく勉強しております。
過去問や模試の添削をしてもらえるのが楽しいようで、受験オタクのようです。
算数のやり直しは軽視しています。
・志望校判定の登録はお送りくださった内容で問題ありません。
・算数はサピ系では母集団が強いので、偏差は低く出ます。今回の公開模試に関しては算数はかなり難しく、正直気持ちを切らすと平気で50点を割りかねないテストでしたが、そういうところで気持ち面で踏ん張りが利き、取れる点数を取ったと言う意味では評価してあげてください。
・サピ開成を二回お受けになりましたが、結果を拝見するに、1日校でぶれる必要はないかと思います。このまま突き進みましょう。
・聖光はさすがのホスピタリティですよね…栄光にせよどちらにせよ、模試から判断するに2/2の神奈川の学校は安心して良いかと思います。
・浅野は中難易度の問題が多く出るので、その他の受験校とはちがって点を取りきることが最重要です。こちらも心配はしておりませんが、過去問の中でいかに高い点を獲れるかを意識して取り組むべきかと思います。
・算数・理科のやり直し軽視は私も気にはなっておりましたので、口頭で注意いたします。
個別指導塾の使い方
開成算数の初見対応力向上
苦手の算数のテコ入れのために個別指導のポリックを併用していました。
外部模試の結果や答案用紙は、チューターの山﨑先生のほか、算数や理科、ポリックの先生方と共有するようにしていました。例えば、ポリックの先生は12月の四谷大塚合不合判定テスト結果に、こんなコメントをくれました。
・ミスが多い
・問題の条件読み間違い、求めるものの間違い、図を書く条件の間違い
・時間が無かったということだが、ひとつ求めるごとに振り返る癖をつけないといけない
・5番 難しめの問題で、与えられる例を使っていない
・技術的には図もグラフも書けるので、数値をちゃんと書くこと
・8番 グラフ問題 見方も解き方もわかっているが、自分で解けない
・全体の解き方の方針がダメではない、考え方はできている
・図形・グラフを書くときに間違える
また、山﨑先生の指示でポリックの時間内に開成の過去問を初見で解かせて、問題の理解度や見極めを養う取組を始めました。こういった点は山﨑先生の指示が無ければできなかったことです。
1月受験校について
西大和と栄東
1月の受験校については、ギリギリ12月になってから山﨑先生にご相談すると、開成受験におすすめは、西大和で、西大和とともに栄東も受けておくと点数結果を教えてくれるのでいいですよ、くらいなお話でした。東大コースは結構、算数が難しいから、難関コースを併願しますか?ということでしたが、「過去問を試して決めます」と回答しました。結果は非常に良かったので、東大コースに絞り込みました。
1月2日のプレ開成で不合格判定
最後の覚悟
年が明けて1月2日は、プレ開成を受験しました。1月3日は本人の希望で、希学園杯を受けました。プレ開成の結果は、総合順位6位、31点不足で不合格、希学園杯も無冠で終わりました。この結果には非常に無力感を感じました。
この時点では、開成の合格可能性は、50%に満たない、もし2月1日受験校で惨敗したら、精神的ダメージでドミノ倒しになるのではないか。志望校を変えるか、全敗でもよいか、とまで考えました。
結論としては、2月1日受験校を変えるというのは、受験予定校全部見直さないと意味がないはずだ、それでは何のために頑張ってきたのかわからないではないか、希でここまで来たのだから、このままで行こうと思いました。少し泣いたのを覚えています。
プレ開成の結果については、本人も落ち込んでおりましたが、色々と言い訳をしております。
私としては、合格可能性は、50%にも満たないと思っています。
色々と考えましたが、2/1~2/5の受験校は変えずに行こうと思います。
全滅の可能性もありますが、本人の人生にとって教訓ともなるでしょう。
場合によっては、区立中学を選択するかもしれません。
悲嘆にくれた私には、山﨑先生の下記のメールも慰めにしか感じられませんでした。算数、理科の先生にも個別に相談をして別途「中学への算数」などの教材をもらいました。
この粘りが後に効果を発揮します。
プレの結果に関しては合格最低点を高めに設定も致しましたし、次点でしたので、本番の合格可能性はあると思っております。
西大和受験~事実上の首都圏開成模試
開成合格に向けて本人が動いた
息子も危機感を持ったらしく、冬休み以降、怒涛のように勉強していました。そうこうするうちに、西大和、栄東を受験することになりました。
1月11日西大和受験日の前々日に勉強しすぎて、前日は気持ちが悪くなり、ダウンして終日休むというブレーキ状態。体調を整えるために、お灸をして上げたりしました。(風邪予防に受験まで続けました)
軽い気持ちで受験したのですが、現地に行ってみると、どう見ても各塾ともプレ開成状態で、怖気づきました。(塾によると合否結果で開成受験をあきらめさせるとか。)
受験後の息子の第一声は「算数と理科がヤバい、落ちた」というものでした。でも「希に行く!」と力強く言って、塾の授業に直行しました。試験問題を見ると、前年とかなり傾向が変わっていました。
西大和受験の日、いつもの帰宅時間になっても塾から息子が帰ってきません、どうしたのかと心配していると、「山﨑先生に開成対策を聞いてきた」「国語ができなくて、算数で振り切られたら終わりだから、国語の授業でやった過去問の書き直しをやれ」「出そうな問題について、模試の過去問をやるからやれ」と言われた、とのこと。
息子が自分から初めて大胆ともいえる行動をとったことに驚き、熱いものがこみあげてきました。「この子は本当に開成に入りたいと思っているんだ」と痛感したのです。
栄東は特待合格でしたが、何と、国語が平均点すれすれ、理科は平均点以下という結果に。西大和については、半分あきらめていたのですが、14日にネット上で合格を確認できて、会社で泣きそうになりました。事実上の首都圏開成の模試という位置づけと認識していたので、数か月ぶりでホッとしました。
ただ、得点結果については、社会以外は合格者平均を全部下回っていました。栄東、西大和の結果で、得意の国語で得点できないことが判明しました。そこで、受験まで3週間の時点で、漢字や語句のやり直しとなりました。この時は本当に焦りました。
山﨑先生と相談した結果、算数については、西大和の結果を分析して、テストの受け方について、問題の見極め力をつけ、うっかりミスに気を付けること、社会科の先生からはうっかりミスに気を付けること、過去問の見直しをすること、理科については、暗記ドリルのやり直しと先生から指摘された試験の受け方、問題の勘違いに注意すること、など。理科の先生には授業でやった過去問演習を選んでもらい振返りをすることにしました。
受験までに課題はたくさんあったのです。これらをひたすら、一つずつつぶして行きました。
山﨑先生の最後のアドバイス
受験前夜「俺の言ったとおりにやれ」
希学園では受験前夜に先生方が子供の就寝前に電話をくれます。いわゆる「お休みコール」です。母は側で祈るように聞いています。
山﨑先生の言葉は忘れもしない「俺の言ったとおりにやれ」というものでした。
受験当日の朝のミニ講義では希の先生が「開成の算数の傾向は7年周期で変わり、今年は2番目に難しい年です」と言われ、初耳の私には不吉な予感がよぎりました。本人は落ち着いて試験に向かいました。
受験後はノーコメントでしたが、まなざしは落ち着いていたので、やり切ったのかな、と。割合に平常心という印象でホッとしたことを覚えています。
受験後にわかったこと
頑張りすぎたかも知れない
息子の合格体験記には、開成受験について「ほとんど簡単でした(算数以外)」という言葉がありました。社会について普段の授業でやった統計がそのまま出たというラッキーもあったようです。算数で泣き出してしまう受験生もいたらしいので、切り抜けられてよかったと思います。
私はもしかしたら頑張りすぎて、完璧すぎる受験対応を行ったのかも知れません。息子の第一志望の意思が固い以上、どうしたら合格できるかを極限まで突き詰めて取り組みましたので、どこかで手を抜くということができませんでした。
ただ、私の対策はシンプルです。塾でやったことや、先生の指示を愚直に全うする、ということだけなのです。
山﨑先生、その他の希学園の先生方にはいつも不安を率直に打ち明け、何らかの対応策をとることができました。その時点で先生方は納得の行く回答を返してくださいました。
それが、頑張り抜き、第一志望校に合格する原動力になったと思っています。