高校留学

ボーディングスクール受験戦記 中高一貫校・純ジャパのチャレンジ その3.現実の壁と狭すぎる選択肢

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こんにちは、ワーキングマザーのための受験留学アドバイザー・喜連川綾乃です。

私の人生をかけたはずの早期留学プロジェクトですが、それを理想的な形で達成する方策はなかなか見当たりませんでした。

当時の検討の過程や、今だからこそ言える振返りも含めて体験を綴ります。

※写真は実際のキャンパス訪問でガイド役の生徒に案内されいる様子です。

振返り

今だから感じること

うちの息子の場合、高校1年生で留学しましたが、早期留学とはもはや言えないかも知れません。最低限だと思います。

それでは中学受験をせずに、日本の中学校相当のアメリカのジュニアボーディングスクールに直接進学する道を選んだ方が良かったのでしょうか?

必ずしもそうとも言い切れないように思います。英語力も大事ですが、中学受験で鍛えられるような基礎学力も生きていく上で必要だと思うのです。

英語力という観点では、早ければ早いほどバイリンガル並みの実力を身に着けることができます。一方、難関の中学受験を突破したからこそ得られる確かな学力もあると思います。

私は中学受験の記事で執筆していますが、息子の中学受験においては、苦手科目(息子の場合は算数)の克服に全精力を注ぎました。開成に合格すること以前に苦手科目を人並みにしないといけないと考えていたのです。

AIの時代に生きていくことを考えると、算数や数学から逃げすに取り組んで良かったとしみじみ思います。

SATのMATHセクションに苦戦することも

最近、ボーディングスクール生の保護者の方から聞いたのですが、アメリカの大学受験に必要なSATがなかなか難しく、結局スコア提出しなかった、とのこと。周囲のジュニアボーディングから名門のボーディングスクールへ進学された方も、SATのMATHセクションに苦戦している、というのです。

文系か理系かによって資質は変わりますが、共通点は中学受験で算数をこなしていないことです。ボーディングスクール受験でもSSATという標準テストがありますが、留学生採用はTOEFL重視の英語偏重になります。うちの息子も中学受験を通過しなければ同様だったと思います。

アイビーリーグのSAT任意提出はいつまで?

アメリカのアイビーリーグもパンデミックのために、標準テストのSATを不要とする措置をとる大学も増えましたが、そのような学校ばかりではありません。

MITがSATを受験要件に復活させたことが話題になっていました。ハーバード大はSAT等スコア提出は必須となっています。

例えばペンシルベニア大学は、SAT等スコア提出は任意のオプショナルと明記していますが、テストスコアの自発的な提出は受けています。

良いスコアは有利に働くはずですし、いつまで任意提出が続くか、受験志望校が必須でないかは注意が必要です。

中学生での単身留学は許されない

さて、早期留学を模索した当時の体験についてお話したいと思います。

現実の壁

本来は中学時代に留学させたかったのですが、開成には留学に関する規定があり、「中学は、海外転居に伴う保護者帯同の場合のみ、認めるものとする」というルールがあります。世の中にはバイリンガルの帰国子女が多いものの、それは保護者の海外勤務の副産物であり、日本を起点とした中学生単身で、しかもそれなりの教育レベルの学校への留学の選択肢はあまりないのです。個人単身での留学受入れ先もアメリカの場合、私立のジュニアボーディングスクールしかなく、校数も非常に少ないです。

開成を退学するつもりはなかったので、大学受験なども考慮すると、高校1年生で単身留学させることが現実的な選択でした。

高校留学の選択肢

ありとあらゆる選択肢を探す

高校留学のため、ありとあらゆる選択肢をインターネットで探し、実際にヒアリングし、学校の先生にも相談してみるなど手当たり次第に動きました。

開成学園は当時、柳沢幸雄校長という、ハーバード大学で教職につかれ、ベストティーチャーに選ばれたという素晴らしい先生のリーダーシップで、英語教育・海外大学進学支援に非常に力を入れており、息子を担任いただいた先生も熱心な留学推進派だったのですが、高校在学中の留学は応援するけれど、公式には具体策はない、という状況でした。

それでも自分で調べた結果、以下のような選択肢が可能なようでした。

2つの選択肢

選択肢1:高校生交換留学プログラムの活用

公益財団法人AFS日本協会のような国際交流のための民間の非営利組織が主催する年間交換留学制度が多数あります。応募して派遣生となれば1年間の留学が可能です。

  1. 要件: 英語力や適性のチェックがあります。団体により求める英語水準に差があります。(私は、息子の英語レベルが不安だったので英検3級でも参加可能な交換プログラムも含めて軒並み検討し、2~3の団体の説明会や体験者発表会に参加しました。)ホストファミリーや派遣先の学校での人間的なあつれきが発生するなどの時は、本部にも相談に載ってもらえるようですが、派遣生自身で打開していく力が必要ですので、本人の強い意思と突破力が必要です。
  2. メリット:現地のボランティアのホストファミリー宅にホームステイし、基本的に現地の公立校に通学するため、費用が良心的で廉価に抑えられるという素晴らしいメリットがあります。AFSなどは派遣先も非常に幅広く、ヨーロッパ、南米などへの交換留学体験者の報告を聞き、皆さんが異文化でのホストファミリーとの生活や学校生活で、涙しつつ苦労しながらも立派にたくましく成長されている印象を受けました。制度として確立されていますので、開成でも過去に活用した生徒もいるようです。
  3. デメリット:派遣先国の希望を出すことはできますが、配属地域や学校、家庭は選べません。勉強については、現地の公立校のレベルになり、学校側のカウンセリング等の支援は特段に保障されません。
  4. 情報:日本の中高一貫進学校からの参加者に、現地での勉強のレベル感について意見を聞いたところ、英語に慣れれば特段難しくはない、とのことです。

AFSは歴史も長く、うちの息子の友人のお母さんがAFSホストファミリーの縁で留学した経験があるとのこと。また、私から息子の親友にAFSの夏休み短期留学プログラムを紹介したところ、関心があったインドに実際に行きました。大変によいファミリーに当たり、満足したということで大変嬉しく思いました。

選択肢2:私立高校への私費留学

AFSの制度を利用してアメリカの公立校への留学も真剣に検討したのですが、アメリカ人のエデュケーショナルコンサルタントは、公立校は「勧めない」と言うし、後日、学校訪問で知り合ったボーディングスクールの日本人女子留学生に「アメリカの公立校ってどう思う?」と聞いてみると、「不安な気がする」という返答が返ってきました。

土地勘のないエリアに、子供を単身で無防備に公立校に送り込むこと、学校を自らの意思で選択できないことを当時は躊躇しました。AFSなどの制度に頼らず留学するには、私的にホームステイ先を探して公立か私立のデイスクールに通学するか、私立のボーディングスクールに通学するしかありません。

私的なホームステイの実現可能性はまずなさそうでしたので、私立のボーディングスクール受験を検討することにしました。

  1. 要件:受験や面接への準備が必要
  2. メリット:子どもに合う学校選びができること、手厚い支援が得られること
  3. デメリット:学費が高いこと(年間7万ドル程度)

本当に何もわからず、先の見えない状態でスタートを切りました。

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