中高一貫校からの高校留学その3.あこがれのボーディングスクールに行ってみて
こんにちは、ワーキングマザーのための受験アドバイザー・喜連川綾乃と申します。
息子の高校留学の選択肢としてボーディングスクールを選んでみてどうだったかを母の視点から綴ります。
私のあこがれ「ボーディングスクール」とは?
そもそも「ボーディングスクール」とは何なのか
「ボーディング(boarding)」とは「寄宿」を意味し、「ボーディングスクール(boarding school)」とは翻訳すれば「寄宿学校」となります。アメリカでは良家の子弟が親元を離れて寮生活を送りながら大学進学を目指す教育機関ととらえられます。一定の規律のもと、勉強やスポーツ、課外活動に切磋琢磨しながら励み、生活面を含む手厚い指導を受けます。
私の長年のあこがれ
ボーディングスクールを選択した背景には、私の長年のあこがれもあります。
私にはボーディングスクールからアイビーリーグのブラウン大学へ進学した知人が二人いました。二人とも完璧な英語を話し、ただ頭が良いというだけでなく、如才なさと、社交性に富む人間性が最大の魅力でした。
友人が「私はコネチカットの寮のある学校に行っていたのよ」と言うのを聞いて、どういう教育で彼女のような素晴らしい人間形成が行われたかに関心を持ちました。後に、彼女の出身校がテンスクールの超名門チョート・ローズマリー・ホール(Choate Rosemary Hall)だとわかり、名門ボーディングスクールからアイビーリーグへの道にあこがれが膨らんだのです。でも自分には縁のない世界だと思っていました。
ボーディングスクールの特長と魅力
ボーディングスクールは大学進学準備のための教育機関ですが、日本の塾のような詰め込み式の勉強はありません。
授業は少人数制が特長で、徹底したディスカッション形式で行われ、参加することが重要です。数学でも討論が活用されるほどです。教員一人あたりの生徒数が少ないのがセールスポイントで(5対1など)、先生からは授業外でも質問に来るようにと言われます。
教員には修士クラスも多くおり、授業の素材は洗練されています。大学出願に必要な標準テストのSATの学習支援やカレッジカウンセリングは計画的に行われます。
ボーディングスクールの魅力は、明文化しがたいのですが、「コミュニティ」の力にあると思っています。ほとんどの場合、自然豊かな環境で、先生方も家族全員で同じ寮に住み込み、小さな学校なら校長先生の自宅に生徒が集まることもあります。
ボーディングスクールの学校関係者は生徒を温かく受け入れ、自信を育んでくれます。コミュニティには学校ごとの特色があり、どれ一つとして同じではありません。
フィット感ある学校選びが成功の秘訣です。
変わりゆく存在意義
アイビーリーグに直結するわけではない
私が「ボーディングスクール」という言葉を初めて聞いた30年くらい前とはその存在意義も変わりつつあります。
昔はアイビーリーグ(ivy league)に行くためにボーディングスクールを選ぶ、という考え方がありました。現在はアイビーリーグが入学審査で生徒の多様性を重視しているため、特定の有名ボーディングスクールに入ったから合格ラインに到達するというわけではありません。むしろ逆だと思います。オンラインスクールも台頭しており、オンラインスクールからアイビーリーグに進学する生徒もいます。
アメリカの大学への出願には、自分に見合った学校で実力と個性を最大限に発揮する方がよいのです。
ボーディングスクールという選択肢を振り返って
行ってみてどうだったか
留学先のボーディングスクールは私にとっても大好きな場所になり、息子も行ってよかったと思っています。結果的には、この留学でアイビーリーグ合格を手繰り寄せたことになります。
1年間の留学という時間軸の場合、英語力向上がメインの成果になります。今から振り返ると、私のこだわりとあこがれでボーディングスクール受験をしましたが、特に難関校でなくてもよいし、AFSの派遣で公立校留学でも一定の成果を得られたかも知れません。我が家の場合、親の私が主導して息子を留学させたため、アカデミックレベルもそれなりのものを親の責任で見つけなければならない、という発想になりました。
もし、お子さまが自発的にAFSのような交換留学制度を活用して留学したい、という意志と覚悟を見せれば、ご立派なものです。任せてよいように思います。
公立校との比較
ボーディングスクールの方が公立校よりも宿題や課題も出て、より丁寧な指導のもと学習量も多いと思います。授業内容は、日本の中高一貫進学校できちんと基礎ができていれば、英語力の問題で最初は難しいけれど、頑張れば上位も狙えるというレベルです。
アメリカ人クラスメイトも大学進学を目指して良い成績をとるために勉強します。息子の場合は、生徒・先生ともに一定レベル以上の層に囲まれた環境で一生懸命勉強する経験を積めたと思います。
ボーディングスクールとアメリカの大学は環境が似ているため、大学生活はスムーズに行っているようです。
ボーディングスクールの環境
想像以上に安心なコミュニティ
親の私にとって、ボーディングスクール留学は、想像以上に安心でした。
息子が一人でキャンパス外に出るときは親の許可が必須です。一人一人にアドバイザーが付き、逐一様子を報告してくれます。親との連携を非常に重視してくれて、何でも相談に載ってくれるる留学生担当者もいます。
学校全体で生徒ひとりずつの様子に目をかけ、生徒が充実した生活を送っているかに関心を寄せてくれるのです。
入学してすぐのファミリーデイで息子を訪問すると、周囲に温かく支えられ、明るく嬉しそうな表情でキャンパスを歩いており、心底ホッとしました。
ボーディングスクール選びのコツ
「幸せに過ごせる」と直感できる場所
ボーディングスクールについては特に子供が「幸せに過ごせる」と直感できる場所を選ぼうと考えていましたし、実際にそうしました。
「子供が笑顔でキャンパスを歩いている姿が目に浮かぶ」という感覚が大事だと思います。ボーディングスクールに入ることはそのコミュニティの一員になる、という感覚で学校を選ぶとよいと思います。
息子の周囲でもありましたが、楽しいことばかりでなく、最初はかなり激しいホームシックになる生徒さんもいます。そういう状況でも学校に溶け込めるような感覚があれば少しずつ乗り切っていけると思います。
今後、ボーデイングスクール受験体験もお話ししていきたいと思います。