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NYU合格ジャーニーその4.どうしてもパーソナルエッセイが書けない

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こんにちは、ワーキングマザーのための受験留学アドバイザー・喜連川綾乃です。

アカリさん親子と私が手探りで進んだ受験のドラマその4では、どうやって「自分を語ることができない」アカリさんを叱咤激励して出願にこぎつけたかをお話しします。

書けない理由

アカリさんの生い立ちやカルチャーギャップ

彼女が自分を閉ざすようになった原因には、家庭環境も影響しているようでした。

成功した起業家であるお父様とオープンなお母様は、日本生まれの彼女のためにインターナショナルスクールを選択したことに加えて、まったく制限やタブーのない独特の教育方針で彼女を育て、「何かをやってはいけない」と言われたことはなかったそうです。小さい頃から災害の悲惨さもオープンに見せ、デジタルツールも全くフリーだったとのことで、子供でも一人の人間として扱ってくれたそうです。

また、起業家であるお父様からは「情熱を持つことが何より大事だ」と言われ続けたそうです。

結果として、自分にとっての常識と振る舞いが日本の社会規範では普通ではないことを思い知ることになったそうです。さらにインターナショナルスクールでの数少ない日本人という立場も心理的な障壁を加味したようです。

彼女のリアルな話を聞きながら、私が傍から思い描けるアイデンティティーギャップが浅はかなものだったと感じました。親として自分も子供に留学の道を選ばせましたが、異なる環境に適応するということは、多かれ少なかれ痛みが伴うものであることを痛感し、親としての責任の重さを再認識しました。

大学出願エッセイを書くということ

誰にも書けないこの世でただ一つのもの

エッセイにおいては、生い立ちなどを赤裸々に描き切ることが有効です。少なくともエッセイを書く準備段階で思いを巡らしておくとよいと思います。生い立ちと志望動機がリンクしていれば、説得力が増します。誰にも書けないこの世でただ一つのもの、人の心を打つものが出来上がるからです。

私はアカリさんのエッセイでそうしたものを目指して欲しかったし、そうでなければ名門校に合格することは難しいと思っていました。

私にはアカリさんはまるで固い殻に閉じこもっているように見えました。彼女が書く美しい文章、美しい写真の数々は彼女が自分を閉ざす盾のようなもので、真実の自分を見せないための「よろい」のようなものだと感じました。長年自分を隠し続けた結果、自分のことを表現できなくなっていました。そこにあるのは痛々しい「恐れ」でした。複雑骨折のような心理でした。コンサルがどうにかできるような問題ではありません。

コンサルは合格者のエッセイ集もふんだんに見せてレクチャーもしてくれます。英語をリライトしてくれる、元入学審査官のコメントはもらえる、と至れり尽くせりです。日本人の優等生ならそつなく執筆できたでしょう。

出願エッセイを書くいろいろなテクニックは探せば世の中にあります。しかし、アカリさんの自分について書けないという状況は、「こんなことがあるのか?」という根本的な障壁でした。

しかし、私は彼女の才能、日米での経験にふさわしい場所へ、何としても到達してほしかったのです。

本物のエッセイを追求

「自分を隠しているだけ」

コンサルからも「自分のことを書けないことが問題の中心」と言われますが、誰も解決できません。何とかするにはどうしたらよいのか。

自分のアイデンティティについて書くことを模索しても、まったくきれいごとしか表現できない彼女に対して、ふと感じたことを投げかけました。

「きれいな写真や、美辞麗句の文章は、もしかしたら、自分を隠すために利用するツールになっていない?きらびやかな芸術は隠れ蓑ではない?芸術の裏に隠れて実は自分を出さない、というのがあなたです」

アカリさんはこう答えました。「そういえば、クラスでも何かリアルさがない子と言われたことがある」

それにはすべて理由があるはずだし、本当に人の心を打つものを創造するためには、自分をさらけ出すことが必要なのでは?人の痛みを共有することが芸術の第一歩なのでは?」と私は言いました。

自分について書けないこと、表現できないことには理由があるはず。それを書いてみよう!!

ある程度エッセイのアウトラインを話し合いました。特によく話し合ったことは、そうなった要因はなぜかという点であり、お父様の影響についてです。「情熱がなければ成功することはできない」というモットーは、過度であれば日本社会では異端者とみなされるかも知れません。私は言いました。

「お父さんの言っていることは正しいと思うよ。私自身もそう思って生きているよ」と。「私も自分を出すのが怖いことはあるけれど、情熱でそれを克服することができる」

今回は、彼女の中で何かが弾けたようでした。

粗削りではありましたが、持ち前の執筆力で、ものの30分ほどで今までにない「I」が主語になった力強いパーソナルストーリーが展開されていたのです。

私は一読して感動しました。とても私の好きなエッセイだと思いました。

ヨーコママが涙したエッセイ

塾のコンサルとブラッシュアップし、最後に私の意見も反映して決定版となりました。ヨーコさんはそれを読んで「涙がこぼれた」とのこと。私が息子の出願エッセイを読んだ時と同じでした。大学出願のよいエッセイは親が涙するほどのものになるのでしょう。

塾のコンサルも本当に優秀で、良くやっていました。ただ、コンサルも引き出す努力はしてくれますが、アカリさんの場合、世界で唯一無二のもの、本当の内面を映し出すものに肉薄することは難しかったと思います。

<アカリさん自身の作品>

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