NYU合格ジャーニーその2.アーリーディシジョン校の選択

こんにちは、ワーキングマザーのための受験留学アドバイザー・喜連川綾乃です。
アメリカ留学への道が視界不透明な環境になってきました。今は不安でも、皆さんの夢が実り、努力が報われることを毎日、祈っています。
さて、アカリさん親子と私が手探りで進んだ受験のドラマその2では、アーリーディシジョン(早期単願制度・ED)の舞台裏を綴ります。
アーリーディシジョン(ED)の学校選択について
バーナードの選択と私の疑問
塾からは、バーナードカレッジ(以下、バーナード)へフィルムとヒューマニティ専攻でED出願することを推されました。
私は少々腑に落ちない点がありました。アカリさんの経歴は完全にアートスクール向きです。EDでNYUでなくバーナードを選択するのはなぜかについて、コンサルに質問しました。
「正直なところ、バーナードよりもNYU Tisch School の方がグローバルで競争率が高いため、NYUは避けた」とのこと。
私としては、”Why Barnard?”に対して説得力が出るのかが不安でした。その点については、コンサルは、
「確かに『なぜ、NYにあるプラット・インスティチュート(アート系大学)に出願しないの?』と言いたくなるが、実は、バーナードはアート系の学生を好み、受け入れてくれているため、チャンスがあると考える。NYUは倍率が激しくcompetitiveすぎる」とのことでした。
アカリさんの魅力
驚異の課外活動歴・独立心・あやうさ
私は初めて会った時からアカリさんにはアートの才能があると感じていました。英語力を活かして海外の一級のアーティストとコラボした実績があり、すべてに本人の情熱と実行力の軌跡が見えました。
また、幼稚園から日本のインターに入って転校でステップアップし、さらにアート系のボーディングスクールに奨学金を得て留学するなど、経歴が非常に多彩でユニークです。これならエッセイも、いくらでも書けるはずだと思いました。
私の思いはただ一つで、「アカリさんのこの経歴にふさわしい一流のアメリカの大学に入れてあげたい。アカリさんの人生経験はそんな中途半端なものではない」というものでした。
その思いは、アカリさんとヨーコさんと付き合うにつれ深まっていくのですが、アカリさんの持つあやうさも知ることになるのでした。
方向性について親子の思いが相違
親子の希望
非常に不思議だったのは、アカリさんは必ずしもストレートにアート系の大学を志望していなかったことです。有名大学のヒューマニティ系学部でアートも学ぶ、という位置付けです。しかし、「アメリカに行きたい、NYに行きたい」という願いは強いようでした。
一方、ヨーコさんはアートを前面に出してNYあたりの有名大学に入ってほしい、とのこと。このNYというこだわりには、他人にはわからない思い入れがありました。ボーディングスクールが西海岸の辺鄙なところだったため、どうしてもカルチャーが合わなかったのだそう。どっちみち彼女は何らかのアート活動を都会で展開するわけだから、もう同じ失敗はさせたくない、ということだったのです。
NYUへの情熱
私はバーナードという選択肢は「少し違うのではないか」という気がしていました。
バーナードは成績がよくて真剣にヒューマニティー分野を志望している生徒ならよいわけです。そういう生徒ならいくらでもいます。一方、バーナード側にアカリさんを選ぶ強い理由は、特段見当たらないような気がしました。私にはなぜか最初からNYUのアートスクールがアカリさんにとっての本当の意味での「第一志望」「本命」のように思えてしかたなかったのです。
アカリさんにNYUに入ってほしいと強く考えていました。
アメリカの大学受験はテストのスコアだけで決まるわけではありません。願書や経歴で、出願者がその大学のキャンパスを歩いている姿が目に浮かぶ、という感覚を持たせることが大切なのです。自分の息子がアイビーに合格した時にはそう実感しました。
成績や経歴もさりながら、エッセイを一読するだけで「この出願者こそ学校にふさわしい。世界の何千人という出願者の中で最も学校が教育を授ける価値があり、学校の発展に寄与してくれる人物がここにいる」という有無を言わさぬ納得感を与え、自然にそのような感情が湧いてくることが必要です。
私がアカリさんに送ったNYU研究の薦め
バーナードのためにED出願準備を進めることになりましたが、私の思いはNYUにあり、こんなメールを送っていました。
以下のNYUページをよく読みこみ、『アートの世界で成功する資質は何か?」『共通項がないか?」『NYUが欲しいもの」は何か、と考えるといいです。
自分にはそれがある!ということをエッセイで浮き彫りにします。
https://tisch.nyu.edu/about/about-tisch
https://tisch.nyu.edu/alumni/alumni-highlights
それは、ユニークな発想、社会への問題意識・洞察力、国際的な体験、diversityでinclusive な物の見方、芸術文化の素養、成し遂げる意思、それに基づく実際の成果 などでしょうか。
私も読みましたが、魅力ある人間性、芸術性だけではなくて、成功させる実行力・マーケティング力の必要性を感じます。
エッセイではアカリさんが自分以外の何者かである必要はなく、自分を主語にして、人生を赤裸々にふりかえることが成功の秘訣です。
親にも言えないような挑戦、失敗、挫折、成功もあるでしょうし、それを乗り越えて得たという原体験を語ることが重要です。
また、NYUカラーが大事で、誰が見てもNYUの学生としてNYUのあるワシントンスクエアを闊歩している姿を思い浮かべることができれば成功です。
一度ディスカッションした方がよければお知らせください。
参考になれば幸いです。
喜連川
<アカリさん自身の作品>


