海外トップ大学進学その7.奨学金獲得-本当の勝利の瞬間
こんにちは、ワーキングマザーのための受験留学アドバイザー・喜連川綾乃です。いつもお読みいただき、ありがとうございます。うちの息子のアイビーリーグ合格までを綴ったこのシリーズも今回が最終回になります。
4月からの新学期を前に、皆さまには色々な思いがあるのではないでしょうか。
海外留学を選択するのかしないのか、サマースクールにトライするのかしないのか、英検を受験するのかしないのか、などなど程度の差こそあれ色々な道があります。そして、それぞれの道を選ぶにしても、どのような対策をすればいいのか?という悩みも生じます。
我が家の場合はグローバル化が激しく進む中で海外留学経験はなくてはならない、という意識は常にありました。大変なことは多いですが、この体験談が皆さまにとって、何らかの勇気づけになることを心から願っています。
奨学金獲得への再挑戦
合格でも内心は複雑な心境
うちの息子から「受かってたよ」というセリフを聞いた時、嬉しさは半分でした。内心を告白すれば「ああ、やっぱり来たか」という、恐れていたシナリオです。これで毎年10万ドルを支払わないといけなくなりました。大学だけでなく、その後の大学院のことも考えないといけません。
そんなこんなで、喜びはどこへやら、資金繰りで頭がいっぱいの毎日でした。お金のことを考えると頭が重くなるのです。
柳井正財団の予約型選考で落選
実は息子は、柳井正財団の海外大学奨学金の学校推薦の予約型選考に落ちていたのです。開成では毎年留学希望者の中から推薦者を選抜していました。うちの息子はせっかく推薦を受けていながら、財団との面接がうまくいかずに落ちてしまったのです。
開成から推薦を得て落ちるというのはよほどの失敗と、私は相当な衝撃を受け、準備不足に後悔をしていました。いえ、後悔先に立たず、の心境でした。
柳井正財団の海外大学奨学金
柳井奨学財団は、米国の場合、指定大学の奨学生を対象に1名当たり年間9万5千ドルを上限として大学ごとに必要な費用(授業料、寮費、保険料)を算出し、4年間支給を行います。奨学生は生活の心配がまったくなくなり、安心して勉強に打ち込めるというこの上なく有難い奨学金で、驚異的な奨学金制度と言えます。
知合いのアメリカ人コンサルは、”That is so amazing.”と感嘆します。
https://www.yanaitadashi-foundation.or.jp/application/https://www.yanaitadashi-foundation.or.jp/application/
合格型の公募制海外大学奨学金に応募
合格後のこと、息子が開成から帰ってきて、「先生に柳井奨学金の合格型に応募したらって言われた」と言います。そういうものがあるとは知りませんでした。柳井奨学財団の担当者が有力校をリクルートに回っているようでした。開成に来校し、うちの息子に再トライを勧めてくれた、とのこと。俄然、希望の光が点灯しました。
合格型で再応募を勧めるというのは、アイビーリーグに合格している実績があるからでしょうが、それならどうして予約型で落としたのだろうと思いました。開成の先生にその理由を確認しました。先生によると、どうも息子の理論の展開に偏りがあった、とのことでした。それならその点を改善しよう!と決意しました。
奨学金合格に向けた対策
予約型は自己流で失敗したので、今回は、外部の専門家のコーチングを受けることにしました。これは意義ある投資としてベストを尽くしました。私も柳井奨学財団が各塾で開催するオンライン説明会に参加して情報収集して分析を行います。最終面接まで進むと柳井正理事長と対面することになります。
今回の息子は今まで見たことがないくらい必死で頑張っていました。
私が集めた柳井さんの経歴や性格分析についても素直に耳を傾けました。web会議用のライトを購入し、コンタクトレンズを初めて装着するなどアピアランスにも気を配る意気込みでした(私がお金を出すんですが)。
柳井さんとの最終面接の結果
親子で緊張して迎えた柳井さんとの最終面接の後、、、息子は明らかにうまくいかなったようで、何となく落ち込んでいる様子です。これはダメかと思いました。
ゴロリと寝転んで放心状態の息子に、「ママがついてるよ。これでダメだったら、ママにもっと頑張れっていうことだと思うから。頑張って働くよ」と声をかけました。
これは私の本心でした。
期待しないまま過ごしていたある日、私の部屋に来た息子が「柳井奨学金受かった」と言います。私は嬉しさのあまり、息子に抱きつきました。
我が家の本当の勝利の瞬間でした。
ふりかえり
海外大学受験の難しさ
海外大学受験は親子ともども負担が大きいものです。
まずは海外大学進学を選択すること自体が難しいのではないでしょうか。開成では海外大学進学がある程度見かけられる状況になりました。学校によってはただ一人だけ、という方もいます。勇気がいることなのです。
何と言っても受験プロセスが日本とは異なり、情報があったとしても、経験がないため実感が湧きません。また、海外大学進学後もどうなるかわかりません。
メリットばかりではないと思ったので、私はアイビーリーグのブランドにこだわりました。
受験塾に任せればよいか?
では、受験塾に任せれば事は済むのでしょうか?
我が家や周囲のご家庭を見ているとなかなかそうは行きません。そもそもコンサルタントとの相性が良くないケースもあります。子供に任せておいては、問題への突っ込みが不十分なケースも見られました。思春期の子供の扱いは難しいものです。私は遠巻きに見守りながらも要所要所で口出ししました。
合否を分けたと思えるのは、以下のような事項です。なりふり構わぬ母親だからこそできる支援ではないでしょうか。もちろん、精神的なサポートが大前提になります。
- 進捗チェックと問題の克服が図れているかをチェック
- 留学先の恩師に推薦状を依頼したこと
- インターン先を探したこと
- Financial Aid申請を止めたこと
- エッセイの補強をしたこと
お金のこと
そもそも年間10万ドルほどかかるアイビーリーグを受験すること自体が現実的でないと思えるはずです。
しかしながら、日本のアイビーリーグ留学生には経済的にかつてない追い風が吹いているのです。柳井正財団(我が家では感謝の意を込めて「柳井さんの奨学金」と呼んでいます)はじめ各奨学財団が日本人留学生への奨学金支援に積極的に参入しているからです。うちの息子の現在の大学の同級生もほとんどは、大学側の奨学金か、日本の奨学財団の支援を受けています。
アイビーリーグ8校にスタンフォード、MITを加えた10校は紛れもなく米国のトップ校です。これらの学校への合格は極めて狭き門ですから、合格できる日本人は限られています。
奨学財団側でも将来の社会貢献の志があって、財団のPR活動にも協力をいとわない若者は、良き支援対象として欲しい人材と見るはずです。奨学金給付を受けるチャンスはあります。
最後に
アイビーリーガーのペアレントサイン
私のアイビーリーグを目指した長い旅路は終わりました。
成果は息子のものですが、私にとって嬉しいことがありました。
息子のアイビーリーグ校の書類には、私の名前Ayano Kizuregawaにペアレントイニシャルと子どもの卒年を添えて署名します。これは一生有効で、私の生涯の誇りになります。
Where there is a will, there is a way.
私の好きなこの言葉が自然に胸に浮かびました。この言葉を皆さまに伝えて最後を締めくくりたいと思います。