中学受験

母が見た開成中学・開成高校その4.開成生と東大受験

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こんにちは、ワーキングマザーのための受験アドバイザー・喜連川綾乃です。

ご存じのとおり、開成高校は42年連続東京大学合格者数1位(2023年度)の学校です。何がそうさせているのでしょうか。

2/23の日経新聞の「交遊抄」に聖光学院の工藤誠一校長先生が登場されていました。開成の国際化を主導したのが柳沢前校長であれば、聖光学院の東大合格者数を躍進させたのが工藤校長先生だと思っています。

開成のお母さんたちの間では聖光学院と開成は好対照だといつも話題になります。

そこで開成生にとっての東大受験について聖光学院との比較も含めて考えてみたいと思います。

開成生と東大受験

開成生はどうして東大に合格するのか

学校側は「東大に行くように進学指導しているわけではない」と広言しています。それは「東大を受験しろ」と言う必要もないからなのかも知れません。

開成には東大一校しか受験しない生徒も多数います。開成に入った瞬間から東大を受験するのが当然、という空気はあります。強い理由がなければ、東大を受けるでしょう。

では、どうして合格するのでしょうか。私は、開成生なら頭が良く、勉強しなくても東大に合格できるのだと思っていました。でも子供の受験勉強を見ていて、これは必ずしも正しくないと思いました。

開成高校では、高2後半から校内模試が始まります。学年での100位以内を「100傑」と呼び、東大合格圏内と思われます。100傑に入っていれば実力では問題ないはずですが、実戦はそんなに甘くなく、外部の模試を受けてもA判定はなかなか出ません。

どうしてこの生徒が落ちたの?という事態も毎年あります。

英語数学の両方が完璧なトップ層以外は絶対安心、ということはありません。本番受験に向けてそれなりに勉強しないと合格しないのです。

開成では東大受験するかどうか、合格するかも、ひとえに個人の意思にかかっているような気がします。本人が東大にどうしても入りたいという確固たる理由があれば、元々頭はいいので、集中できたら難関突破していきます。

全員がそうだとは言えませんが、開成生は最後に追い込むタイプが多く、土壇場まで勉強しません。ただ見守るだけの親は相当にハラハラします。

浪人するまでまったく勉強せず、1年だけ勉強して早慶に合格する生徒もいます。

おおよそ各家庭で以下のような光景が展開されます。

開成生の家庭の受験模様

自分が行きたいと思う学校が東大しかなかった

→勉強しないから親は心配する

→高3の母の日に運動会があり、それまで勉強どころじゃない。その後も事後イベントで結構忙しい

→親はますます心配する

→一向に勉強する気配が見えない

→親はあきらめの心境になる

→先生は親に子供の志望をあきらめさせないようにアドバイスする

最後に本人が猛然と勉強する

間に合って合格

学校側はどういう態度で接するのでしょうか?以下は高3の秋の保護者会での先生の言葉です。

1月を過ぎても理科社会の伸び代はあるので、最後まで諦めないように。

11月の模試の結果で、第一希望を諦めさせようとする家庭がある。

現役、特に開成生は、残り3か月で非常に伸びる。諦めさせないで。

高3秋の保護者会連絡より

聖光学院との好対照

羨ましいの声

開成生は受験時に聖光学院と併願していることが多いです。受験指導をしない開成の引き合いに出されるのは聖光学院で、「受験指導がすばらしくてうらやましい」と開成のお母さんたちはよく言っていたものです。

聖光学院は、校長の工藤誠一先生の素晴らしいリーダーシップのもと、東大合格者数を着実に伸ばしてきました。2023年度の受験では、東大現役合格率で開成を抜いて首都圏トップ、という記事を見ました。聖光学院の受験指導体制の成果だと思いました。

2023年 東京大学 合格者 高校別ランキング 現役合格率順 | インターエデュ(https://www.inter-edu.com/univ/2023/jisseki/todai/ranking_geneki_rate/)

開成に行ったから受験のためのスキルが伸びるわけではありません。

私はかねがね、開成に来たおかげで東大コースから外れる、もしくは浪人する羽目になった生徒はかなりいると思っています。

開成を選ばず、聖光学院で教育・指導されたら、東大に楽に合格できただろうと思うこともあります。

聖光学院なら海外短期研修などのプログラムも学校側が提供してくれます。美しいデザインの機能的な校舎を備えています。モットーは「ジェントルマンたれ」で、文字通り紳士的で洗練された学校です。

一方、開成はその逆です。サマースクールは自主参加です。長い男子校の歴史に裏付けられたプロジェクトを生徒たちに舞台として提供するだけで、生徒たちはそこで自分たちで勝手にテーマを見つけ、組織運営を行っています。注意事項がなければ指導管理はありません。

高校の新校舎の竣工式を迎えましたが、どちらかというと殺風景なデザインです。教育理念に「質実剛健」とあり、ちょっと時代遅れなところもあるバンカラな校風です。

両校の共通点

両校の共通点はというと高い志の教育理念がしっかりあるということです。工藤先生の「祈り~わが校の原点」というメッセージを読むとミッションスクールとしての教育の原点が心にしみます。

祈り~わが校の原点 | 学校案内 | 聖光学院中学校高等学校https://www.seiko.ac.jp/about/pray.html

両校ともに他の御三家にないような海外トップ大学への進学実績があります。多分アプローチは違うものの、両校に国際化の土壌があると見るべきです。

手厚い受験指導を受け、将来のジェントルマンを目指す聖光学院と、ほったらかしでも圧倒的な才能に囲まれてトコトン好きなことをやる開成学園、どちらを選ぶかで、お子さんの将来はずいぶんと変わると思います。

アドバイスとしては、開成を受験するなら5月の母の日の開成運動会の激しい戦いを見て、ご本人に決めてもらいたいということです。

御三家の頭とは

地頭の良さというものについて

うちの息子について「御三家に入れる頭ではある」と中学受験のエキスパートの先生に言われました。

私は息子を中学受験時に頭がいいとは思ってはいませんでした。いわゆる「地頭の良さ」がどういうものなのか、その時以来謎だったのですが、最近気づいたことがあります。

周囲の御三家出身者と接していると、情報を把握するスピード感が違います。一瞬で大量の情報を読んで把握し、的確に判断を下す能力がある、ということです。

また、身近の優秀な東大出身者を見ていると、定量的な判断に優れているだけでなく、定性的な判断できめ細やかな配慮ができることが強みだと思います。

これは、東大受験で二次試験に文系理系を問わず、数学・国語の両方が必須であることが要因の一つではないかという仮説を持っています。速く的確な計数能力は、ITスキルの支えになりますし、定性的な文脈を読み解く力は組織の人心掌握のベースになります。

現役東大生からは「受験のせいかどうかはわからないけれど、そこそこ全てできる能力がある気はする」とのこと。

結局のところ、こうした基本的な能力があって、開成のような中高一貫校の縦社会でもまれて人間性を磨く、というのは多少無駄な遊びがあっても将来の社会のリーダーとなるために意義があることなのだと思います。

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