海外大学進学

海外トップ大学進学その3. 海外大学受験の塾探し

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こんにちは、ワーキングマザーのための受験留学アドバイザー・喜連川綾乃です。

「海外トップ大学進学」シリーズでは、私が行った主な受験サポートを具体的にご紹介します。今回は、海外大学受験の塾探しについてお話しします。

海外大学受験の塾とは

海外大学受験に塾は必要か

開成では帰国子女でも海外大学出願時に、塾の支援を受けない人はまずいません。

出願者に適した塾を選ぶことが現実的というか、もはや先決です。塾の支援で合格が決まるわけではないものの、出願の各種準備やエッセイ作成で大きな影響があります。

塾探しについては幅広くサーチしたいと思いました。失礼かと思ったのですが、開成で懇意の先生に相談したところ、以下の回答をすんなりくださいました。

「念のため、生徒等が通った塾の名前も他の教員に聞いたのですが、以下のとおりです。
AGOS、 Route H、CRIMSON」

クリムゾンエデュケーションに決定

3社と親子で面談してみたところ、想像以上に丁寧な対応で説明してくださいました。

面談の結果、我が家のニーズに合ったCRIMSON EDUCATION(クリムゾンエデュケーション)に決めました

結果的には、開成生ご用達のルートHさんでも合格できたかもしれません。ただクリムゾンエデュケーション(クリムゾン)は息子と大変に相性がよいサービスで完全燃焼できたようでした。息子は合格後にクリムゾンのサービスについて満足し、感謝しているようでした。

どの塾でもアイビーリーグの合格実績を出しており、良心的な指導体制だと思います。また、併用している生徒もいます。

各塾の紹介

1.アゴス・ジャパン

アゴス・ジャパンは、1980年代から留学のための語学指導を行っている日本の留学塾の草分けです。息子はアメリカの高校留学から帰国後にこちらでTOEFL105対策講座を受講して、TOEFLスコアが大きく伸びました。

アゴスのカウンセラーも大変優秀で、受験指導を一生懸命やってくださいます。ただ、ビジネスモデルとして、TOEFLやエッセイ対策講座がメインで、早い時期から幅広に相談できるアメリカ流のエデュケーショナルコンサルタントという印象は持てませんでした。

無料会員登録をすると、オンラインセミナーで留学経験者の体験談や奨学金獲得に関する説明会などの有益な情報をもらうことができますので登録をお勧めします。

2.ルートH

ルートHは、2009年から留学支援を行っており、現在はベネッセグループの一員です。

ここぞ開成生ご用達のアイビーリーグ受験専門塾です。開成生のハーバード大合格者を輩出してきました。定評があり費用も極めて良心的ですが、海外トップ大学進学専門塾のため厳しい入学審査があります。

開成生で留学歴があることを伝えると、大変有難いことに尾澤塾長以下フルメンバーと面談できることになりました。事前にメールで①志望大学、②平均評定、③TOEFLスコア、④SATスコア、④課外活動歴・受賞歴まで申告するよう指示されました。

面談では出願プロセス全体像を熱心に説明くださいました。ハードルが高いと思ったのは、課外活動について10個の中学3年生以降の活動歴を記載することと、生物オリンピックや物理オリンピック、模擬国連などの「国際レベル」の受賞歴を5個まで記載することが必要、と言われたことです。実際にハーバード大に合格した開成や灘高出身者がどのような活動を行ったか教えてくれました。

灘の生徒会長経験、国際的なトップレベルのディベート大会での受賞の他、被災地支援で得た課題を自分で掘り下げインターンにつなげるなど、その素晴らしさに圧倒されました。

「これは厳しい、無理かな」と正直思いました。

また、SAT対策についてはグループ塾のグローバルラーニングセンターの講座もあるということでした。息子がヒアリングしたところ、「良さそうだよ」とのこと。

その後も照会するとクイックリスポンスで、信頼できる印象でした。

3.クリムゾンエデュケーション

私にとって初耳の、CRIMSON EDUCATION(クリムゾンエデュケーション)とは、2013年にJamie Beaton(ジェイミー・ビートン)というニュージーランド出身の天才的な起業家により創業された世界トップレベルの実績を誇る海外大学等の進学塾です。

クリムゾンの特色はオンラインに特化したビジネスモデルにあります。世界をベースに出願者にとって最適な受験指導のストラテジストやメンターが選び、徹底した個別指導を行います。

契約内容

高校2年生の12月から高校卒業後の7月までの期間について、5校対象の「US出願支援パッケージ」を契約しました。「ストラテジスト」という戦略コンサルタントが全体の方向性を出願者と対話しながら策定してくれます。さらに、Common Application作成のために「メンター」という立場でトップ大学に在学中の学生がエッセイ作成を支援してくれます。

他にオプションサービスとして、Crimson Research Institute(クリムゾンリサーチインスティテュート)という個別支援メニューを契約しました。世界トップ大学の教授や研究者と研究活動をするというものです。通常は理系の学生用らしいのですが、課外活動に困っていた私にとっては、国際性も備え、直感的にうちの息子に合っているように思い、チャレンジする価値あり、と思って追加しました。

トータルで割引を加味して約150万円でした。クリムゾンリサーチインスティテュートを除けば、平均月額は中学受験塾以下、というところです。

経験者の親にヒアリング

事前に開成高校の先輩で、クリムゾンの指導により前年にアイビーリーグに合格した生徒さんのお母さんに電話をかけて話を伺いました。すると、「うちの子はSATを何回も受けて苦労していました。クリムゾンのメンターの方とはエッセイ作成のためにしっかり話していましたよ。100万円程度の契約金は長い期間をカバーするし、1回払えばいいのであまり高いとは思わなかった」ということでした。

クリムゾンを選んだ理由

私がクリムゾンを選んだことにはそれなりの理由があります。

  1. アメリカ現地発の受験対策で差別化                      アメリカの大学受験では、何をおいても出願者としてユニークでないといけません。息子は高校留学していますので、現地の学校がどういうものかという感覚はあります。他の日本人出願者との差別化のために、日本人の発想でなく、アメリカ現地発の受験対策でアメリカ流に徹して勝負しようと考えました。
  2. コンサルテーション特化型                          日本の留学指導塾では、テスト対策に付随するお悩み相談のカウンセリングになり、課外活動のバックアップや包括的な戦略相談がメインでないところがありました。私は早期の段階から受験戦略についてのコンサルテーションが欲しかったのです。
  3. 親へのレポート                               息子は思春期らしく、私に自分のことを打ち明けなくなり、コントロールができません。自分の領域に立ち入られるのを嫌がる、という状況です。クリムゾンでは教育コーディネーターが毎月定期的に進行状況をチェックして親にも報告書を送付してくれるため、状況把握が可能だと思いました。

クリムゾンエデュケーションの内部事情

日本ではまだ新興勢力の外資系ですし、オンライン特化型のため分かりにくいと思うので、詳しく内部事情を紹介します。

クリムゾンの場合、契約金が多額になるため、初回面談には親の同席が必須とされます。浅草橋という不思議なアドレスのメインストリートを外れたオフィスに行くと、代表の松田悠介氏が自ら対応してくれました。「オンラインでも良いところをせっかく来てもらったんで」と言いながら大学出願のイロハをCommon Applicationを開いて、入力項目をひもといてくれました。日本のカウンセラーにはCommon Applicationから話をスタートするという発想はありませんので新鮮でした。

クリムゾンは完璧にデジタル化されているので、情報提供が早く、ゴールから逆算する合理的な発想です。受験合格イコール「ザ・ビジネス」で、合格のために必要な課題をアイテム化し、通過するための支援をメニュー化して提供します。基本メニューとして我が家も契約した5校出願用「US出願支援パッケージ」があります。

代表の松田悠介氏

松田さんは日本大学出身の中学体育教師として、日本の教育現場を経験した後、一念発起してハーバードの教育大学院で勉強し、その後、日本の教育課題の解決のためNPOを創設するなどした後、ビジネス化を通じた課題解決を志し、スタンフォードビジネススクールで修士号を取得したという異色の経歴の持ち主です。今は熱血教師というよりも収益化に目配りするクールなクリムゾンエデュケーションの日本代表という印象です。日本の教育への危機感と留学する意義について意見交換しました。

松田代表による解説「海外大学受験出願プロセス」

松田さんから提示された留学準備項目についての目標とスケジュールは以下のとおりです。

  • 学業面
  項目      目標       期限
GPA(平均評定)9.2/10以上出願時点だが、卒業時の成績を提出する義務がある
TOEFL110以上高校2年生の1月まで(高校3年生になる前)
SATMATHセクション800点/800点
Verbalセクション700~750/800点 
合計1500~1550点/1600点
高校2年生の3月と高校3年生の5月に受験
  • 課外活動 遅くとも高校3年生の出願までに実績を上げること

SATと課外活動をどうするか

学校で悪い成績を取らないように気を付けている程度で、この時点では、まだ本格的な対策には未着手の状況でした。

ここでも気になる点であるSATのスコアメイキングと課外活動について質問しました。クリムゾンにはSATの有料個別指導コースもありますが、松田さんによると、「SATは自分でできます」とキッパリ言われました。

また、課外活動については、うちの息子の現状を書き出させてみると「国際レベルの実績が足りない」とのご指摘でした。

クリムゾンでは大体前年のHYPS(ハーバード、イエール、プリンストン、スタンフォード)クラスの合格者の事例を紹介しています。そのレベルの合格者のプロフィールを見ると、以下のような圧倒的に高いレベル感です。(ひとりの方についてのものです)

ますます課外活動がネックになると思いました。

課外活動事例
  1. 高校時代からベンチャー企業でインターンをし、資金調達に資するリサーチを担当
  2. オーケストラでリーディングプレーヤ―として活躍
  3. 海外大学の教授と個人的につながり、独自に研究を進めた 

クリムゾンの特色

クリムゾンのサービスは我が家には親子ともにマッチしていたと思います。これにはストラテジストが良いタイミングで交代するなど、色々な幸運も影響しました。

クリムゾンは良くも悪くも、グローバルな受験ビジネスのベンチャーであり、オンラインのビジネスモデルです。利用に際しては、特色を理解しておいた方が納得がいくと思います。

コミュニケーションはほぼすべて英語になります。使いこなすには親子ともそれなりの英語力があった方がよいでしょう。私はストラテジストと面談を行いましたが、日本人の保護者からの面談希望は稀有のようでした。

出願プロセスは細分化してパーツごとに有料メニュー化されています。いわゆる三遊間に落ちるような相談は突っ込んではしづらいような気もしました。

また、ストラテジストもコーディネーターもメンターも想像以上に一生懸命やってくれますが、日本の高校や日本社会の事情はほとんど知りません。課外活動について相談してもアメリカの発想でアドバイスされますので、日本の現地事情からかけ離れた回答が返ってきます。

有料のオプションとして課外活動支援サービスもあるのですが、課外活動については私がもっぱら模索することになりました

そこには、受験生が情熱を賭けて取り組むもの、という課外活動ならではの事情があるのでした。

次回は、そんな課外活動をどのように立上げたかついてご紹介したいと思います。

プロフェッショナルマム

親子英検受験講座の提供から、塾とのつきあい方、中学受験算数・TOEFLなどの苦手科目克服法、留学準備まで、自分の成功体験だけでなく失敗体験も活用し、先を見越した助言を行い、ワーキングマザーの時間と労力・お金・ストレスの負担を軽くします。

  1. 英語力向上対策(親子英検受験講座)
  2. 中学受験対策(塾での面談代行等)
  3. 高校での年間留学対策(ボーディングスクール受験など)
  4. 米国トップ大学進学対策
  5. サマーキャンプ・サマースクール留学準備

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