海外トップ大学進学その1. アイビーリーグに選ばれた理由
こんにちは、ワーキングマザーのための受験留学アドバイザー・喜連川綾乃です。
アメリカ北東部にある「アイビーリーグ」は、世界トップレベルの教育研究機関であり、世界中から出願が殺到する全米最難関のエリート校群とされています。
いわゆる「純ジャパ」(日本生まれ日本育ち)のうちの息子が、なぜ「アイビーリーグ」の第一志望校に合格できたのかについてお話ししたいと思います。
アイビーリーグからのアドミッションレター
アーリーディシジョン合格発表
アーリーディシジョン(早期専願)合格発表日は12月15日でした。その朝、いつもどおりにすごしていると、息子が自分の部屋から出てくるなり、ひとこと私に「受かってたよ」と言います。あっけないような結果報告でした。
私が「嬉しい?」と尋ねると、「うん」とだけ返事が返ってきて、彼のはにかんだ笑顔が広がりました。私は「終わった……」と思いました。
その後、大学側からの正式なアドミッションレターを受理し、改めて実感が湧きました。
世界中の誰もが憧れてやまない、アイビーリーグのアドミッションレターを手にすることができたのです。
アイビーリーグに選ばれた理由
アイビーリーグとは
アイビーリーグとはハーバード、イエール、プリンストンなどのアメリカ北東部に位置する8つの名門私立大学群です。アメリカの歴代大統領などの政財界有力者や、ノーベル賞受賞者などを輩出してきたアメリカ屈指のエリート校群とされています。
北東部という土地にあるのは、コーネル大学を除き、すべてアメリカの独立戦争前に創立されているからです。例えば、コロンビア大学は、植民地時代にキングズ・カレッジとして創立されました。アイビーリーグという言葉は、1900年代から8校のカレッジスポーツ対抗戦のために使われたのが発祥です。北東部特有の石とレンガ造りの校舎に、アイビー(つた)がからまるイメージから来ているようです。
アメリカ社会では、アイビーリーグはその長い歴史と土地柄で、「富裕層の選ばれたエリートが入る狭き門」というイメージがあり、「プレスティージ」の象徴といえます。
私の人生の夢だった
私にはアメリカのアイビーリーグ出身の古い知人がいました。彼らはエリートというだけでなく、社会的にも如才なく魅力的な成功者でした。私のあこがれの存在だったのです。アメリカのボーディングスクールからアイビーリーグに進学したということを聞きました。
私の中で彼らはどのような教育を受けたのだろう、という関心が膨らみました。アイビーリーグは私にとって「手が届かないあこがれ、人生の夢」でした。
アイビーリーグの難易度
アメリカの大学受験は、日本のペーパーテスト形式と違い、出願書類による総合評価で決まります。難易度の尺度としては偏差値というものはなく、合格率が主に使われます。アイビーリーグ各大学の合格率は大体5%未満で、全米で最も選考が厳しいとされています。成績・TOEFLスコアなどは完璧であることが前提で、エッセイでいかにユニークな才能を際立たせるかが合否の決め手になると言えます。
入学審査官は甲乙つけがたい優秀な出願者グループの中から、一人を選ぶのが仕事になります。山のような願書を次々に読んで、関心が湧かなければすぐに振るい落とします。
息子が選ばれた4つの理由
アメリカの大学受験では、アイビーリーグは合格予測が難しい”Dream School”の位置付けです。アイビーリーグの場合、「合格」というよりも「選ばれる」という表現がふさわしいように思います。息子には「選ばれた4つの理由」があると思っています。
- 学校成績とTOEFLやSATスコアの良さ:アイビーリーグ受験では学校成績とSAT、TOEFLは完璧で当然と言われます。GPAは4.0/4.0、TOEFL110、SATは1500~1550点以上/1600点のレベルが必要です。息子はこの条件にはほぼ当てはまります。なお、アメリカの大学関係者は日本の高校のレベル感はチェックしますが、決め手にはなりません。
- ユニークなエッセイ:息子の出願エッセイを読んだ時に、直感的に「これなら落とされることはないだろう」と思いました。「求めている生徒がここにいる」と思ってもらえるだろう、という感覚です。息子には取り立てて傑出した国際レベルの課外活動の達成事項や受賞歴はありませんでした。しかし、生い立ちのストーリーなどが専攻分野への志望動機を裏付けており、感動を呼ぶ出来栄えでした。また、人となりがその大学の進歩的なカラーに合っており、「キャンパスを歩いている姿が目に浮かぶ」というイメージを醸し出していました。エッセイについては、ハーバード大学の日本人学生がハーバードの入学審査官に一番大事なことは何かを聞いたところ、“Sincerity is the best.”という回答だったそうです。これは息子のエッセイにもあてはまります。
- アメリカへの留学経験と日本からの出願であること:合格直後に入学審査官が「コングラチュレーションレター」を送ってくれました。「私は日本を含む地域の担当審査官です。私があなたのことを選考会議で推薦しました」と書かれており、「開成とアメリカの高校での経験を本校でぜひ活かしてほしい」という一文が手書きでわざわざ書き入れられていました。日本地域の生徒を抽出して比較検討、というプロセスがあったことが分かります。私の発案で、高校1年生時に留学先でお世話になったインターナショナルディレクターに推薦状を書いてもらっていました。審査官がよく見知ったアメリカの私立高校での成績や経験は、審査上のひとつの決め手、支援材料になったようです。
- 運や縁 : 最後に、身もふたもない話ですが、アイビーリーグ合格には運や縁があったと思っています。まったくの偶然ですが、息子が東京で参加した課外活動の理念の創始者が出願先の元教授だったことが出願直前にわかりました。これを運や縁と言わずに何と言おうか。第一志望校に賭ける強い思いが細い、細い糸を手繰り寄せたのです。
アメリカの大学への出願プロセス紹介
Common Applicationについて
アメリカの大学への出願にはCommon Application(https://www.commonapp.org/)という共通の出願ポータルを利用します。以下の項目・内容と出願スケジュールになります。
1.本人入力項目
項目 | 内容 |
Grades(GPA) | 成績と平均値(GPA)※中学を含めるかは要チェック |
Honors | 中学3年生~高校3年生までの受賞歴(5個まで) |
Testing | TOEFL、SAT(全米共通の大学入学のための標準テスト)のスコア ※通常はテストセンターからのオフィシャルスコアリポートの手配が必要 |
Activities | 中学3年生~高校3年生までの課外活動歴(10個まで) |
Writing | パーソナルエッセイ ※大学ごとに独自トピックスあり |
2.Recommenders (推薦状を書いてもらう高校の先生にオンライン上で依頼)
項目 | 内容 |
School Counselor (担任の先生など) | School Report(評価)、Transcript(成績証明書)、推薦状 |
Teacher Evaluation (教科担当2名) | 本人が依頼した先生からの推薦状 |
出願スケジュール
1.11/1期限 アーリーディシジョン(12/15合格発表)
「早期専願」制度のこと。合格して契約にサインしたら他大学への出願は取り止めてその大学に入学しなければいけません。例外的にFinancial Aid申請が受け入れられなかった場合やFinancial Aid付与金額が少なかった場合、他の大学を選ぶことが許されます。専願にする効果は高く、アイビーリーグでも、5~10%も合格率がアップする可能性があります。通常は第一志望校が確定していたらアーリーディシジョンを選択します。
2.1/1頃期限 レギュラーディシジョン(3月合格発表)
アーリーディシジョンで出願しておき、合否発表がある12/15までは併行してレギュラーディシジョン校への出願準備を行います。