開成に合格できた理由と中学受験の意義
ワーキングマザーのための受験留学アドバイザー・喜連川綾乃です。
うちの息子が開成中学を受験した時、もっと頭の良いお子さんはいくらでもいたと思います。
そんな中で息子が開成中学に合格できたのは、私が息子の苦手分野の克服を徹底的にサポートしたからだと思っています。
第一志望校の開成に合格できた理由
初めての中学受験塾
小学3年生の冬期講習が初めての中学受験塾の体験でした。この時からすでに算数が苦手な兆候がありました。宿題プリントの保護者コメント欄に「3時間もかけてやり直しをしましたが、自分で解き方を見つけてできるようになりません。どうすればよいでしょうか?」と記入すると、「よく頑張りました、4年生になっても続けましょう!」と先生がサインをしてくださいました。結局、特効薬はないのです。
算数勉強法の説明会に出た時にも「よく親御さんはウチの子はひらめきがない、何回も繰り返したら問題を覚えてしまうだけ、などと言うが、そんなもんじゃない。やり続けるしかないんだ」というお話を聞きました。うちの息子にもまさにぴったり当てはまります。 「数の性質」「図形」「場合の数」「規則性」など、毎日の復習テストでどんなにやり直しをしても、公開模試になると悪夢のように点数が取れないことがずっと続きました。
苦手科目の克服
息子が開成に合格できた理由は、ひとえに算数の苦手を克服することをあきらめなかったことに尽きます。毎月の塾の公開模試では、国語・社会は大体60前後で、算数・理科は50を切ることもよくありました。特に男子校受験では算数が難しく配点も高いため、失敗できません。小学6年生での開成模試では合格確率が50%くらいでしたから、本番では1点差の勝負になると思っていました。
勉強の方針としては、塾の宿題だけでも大変ですので、塾を信じて学習した内容をやり切ることにしていました。毎日、間違えた問題のやり直しを繰り返しをしていても、一向に公開模試の点数は上がりません。不調の時ほど焦る気持ちを抑えて、過去にさかのぼって復習し直しました。小学5年生の夏休みには最後のチャンスと思い、小学3年生の冬期講習までさかのぼって徹底的に復習しました。
行き詰まる前にタイミングを見て塾の先生にも相談していました。先生方はいつも的確なアドバイスをくれますので、それを信じて前向きに実行しました。受験直前の小学6年生の冬休みになっても、ずっと苦手科目の対策に明け暮れました。
50%未満の合格確率でも開成受験を決断
1月2日の最後の開成模試の合格確率は50%未満となり、無力感を感じました。2月1日の開成受験の後、2月2日以降も第二志望の聖光学院などの受験が控えています。もし2月1日の開成で惨敗したら、息子はショックを受けて第二志望校もドミノ倒しになるのではないか、という不安がよぎりました。志望校を変えるか、全敗でもよいから開成に賭けるべきか、と悩みました。
2月1日の受験校を変えるのであれば、他の受験校も含めてレベルダウンを検討しないといけないかもしれない。それでは何のためにここまで頑張ってきたのかわからないではないか、このままで行こうと決心しました。その時少し涙が出たことを覚えています。
小学6年生の冬休みの思い出
誰でもできること
小学6年生で受験目前の皆さんもいらっしゃると思います。冬休みになると怒涛のように過去問対策が始まっているはずですが、私がやった「誰でもできること」を紹介します。
6年生になってからの日々の計算の間違い問題をすべて切り抜き、私の姉と一緒に間違い問題集を作りました。この手作り素材を受験まで毎日少しずつ続けました。ほとんど窮余の一策でしたが、先生には「いいと思いますよ。基本ですから」と言われました。
教材はもちろん他にもいろいろとやり続け、結果的に最終週の開成過去問演習で初めて合格点をとることができたのです。奇跡的に間に合ったようでした。また、漢字テストや語句のやり直しも最後まで徹底しました。これらは基本です。受験直前ではなく、もっと前から取り組めばよかったと思いました。
渋幕受験を回避
私にとって重大な決断だったのは、1月22日の渋幕(渋谷教育学園幕張中学校)受験を見送ったことです。国際化で魅力的な学校ですから受けたかったのですが、自宅からはとても通える距離ではありません。お試し受験になるだけなら無駄だと思って断念しました。
渋幕受験の回避で余裕が出た1週間ほどの時間を最大限に有効活用することにしました。この決断が開成合格を手繰り寄せたような気がしてなりません。渋幕受験日に塾に顔を出すといろいろな先生と出会い、合格を左右するようなアドバイスをもらえたのです。第一志望校に賭けて、ひたすら目指し続けてつかんだ幸運でした。
母親としての覚悟
これ以上できることはなかった
可能な限り、合格を「必然なもの」にするように努力することが母親の覚悟だと思っていました。後で「残念だった」とは言いたくなかったのです。
合格に確信が持てないからこそ息子をイチかバチかで受験に送り出すことは恐ろしくてできませんでした。息子が合格しようと頑張っているのを見て、私も全身全霊を上げて支援に取り組みました。
結果として嘘のようですが、受験前日の1月31日には本当に何も勉強することがなくなってしまいました。完全燃焼状態です。
もはや「これ以上できることはない」という状況で入試を迎えました。
中学受験に意味はあるか
息子本人の感想
「中学受験のために小学4年生から6年生まで勉強以外には何もできなかったけど、受験せずに公立に行った方が良かった?」と息子に聞いてみたことがありました。すると息子は、「開成に入ったことは良かったと思っている」とキッパリ答えていました。
母親としての想い
息子は自分で決めた第一志望校に入ったという納得感もあり、開成の校風にどっぷりと浸かって好きなように6年間を過ごしました。
息子が高校生でアメリカに留学した時に、私はアメリカにそのまま残ることを勧めましたが、「僕は自分のアイデンティティが開成にあるということが分かった。だから開成に戻る」と言いました。そんな息子を見ていると開成に入らなければ違う人生を送っていたのではないか、とすら感じます。
中学受験の動機と意義
中学受験の動機
私は地方出身者で、首都圏の中学受験事情はあまり知りませんでした。開成のことは「東大合格者数日本一」ということは知っていましたが、縁のないもの、関係ないもの、と思っていました。小学4年生になったらとりあえず塾に行かせよう、と考えて塾を探しました。難関校に入れなくても、中学受験の勉強は将来役に立つだろう、と考えたことが動機です。
詰め込み式と批判される中学受験ですが、受験算数では頭の柔らかいうちに論理的思考力を鍛えることができると考えていました。受験算数はアメリカ留学で必要な標準テストのMATHセクションや、就職時に受けるSPI検査の論理的思考力の問題にかなり似ているのです。取りこぼさなければ、将来の留学や就職に役立つと考えていました。また、一種のSTEM教育のようなものですから、ITリテラシーの獲得にも役立つと考えていました。
中学受験の意義
中学の勉強で苦手分野をあきらめずについていければ、大学受験も含め、その後の人生でも困らないだろうというのが私の考えです。中学受験の段階で苦手分野を基本から勉強し直して乗り切れば、中学校に入ってからの学業の基礎ができると言えます。
息子は開成中学では数学はどちらかというと不得意科目でした。私としては、数学を得意科目にさせるというよりも、基本事項を理解し、取りこぼさないようにと目配りしていました。
その後の息子のアメリカ留学を通じて、これらの考えはある程度正解だったように思います。アメリカの高校や大学受験のために受けた標準テストのMATHセクションでは満点を取ることができたからです。今はアメリカの大学でデータサイエンス分野も履修しています。
中学受験であきらめずに算数に取り組んだことがすべての出発点になっていると常々考えています。